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「主権者教育」誰も教えてくれない’棄権’の意味

      2017/02/14

多くの人やメディアが注目するなか、まもなく18歳が初めて投票します。「何も知らない自分がしてもいいの?」「誰に入れればいいのだろう」など不安な声を聴きますが、大丈夫です。大人もそんなに変わりません。

「関心がない」「私が投票しても何も変わらない」と思っている人が大勢いて、半数の有権者が選挙に行っていないからです。間違った知識を持っている人たちもいます。「どこも支持しないから」また「反対を表明するため」棄権するのは、完全な間違いです。現在の選挙システムは 投票率が低いほど有力候補に有利に働く ようにできているからです。つまり、

「支持する候補者がいないので棄権します」または「関心がないので、選挙には行きません」は、「一番当選しそうな候補に投票しました」になります。反対に「当選しそうな候補に投票しよう」と思っている人は、棄権しても大丈夫。まったく矛盾していますが現在の選挙システムでは、そうなります。

この歪んだ勝利は「民意」と呼ばれていますが 棄権は有力候補への1票! のからくりに気が付いている人は多くありません。

日本ではあまりにも当たり前になっていますが、半数近くが棄権しているのは尋常な状態ではありません。大げさな言い方をすれば、民主主義の根幹である「国民主権の放棄 」です。

しかし私はその責任を有権者にだけ押し付けるのは、違うような気がしています。「1票では何も変わらない」「私の票はムダ(死票)になる」と思っている人が長い間一定数いる以上、現行の選挙制度自体に無理があるのではないかと考えるようになりました。

経済学者 坂井 豊貴氏 の著書「多数決を疑う~社会的選択理論とは何か」の指摘は、とても説得力があります。現行の制度では、

「有権者は自分の考えの一部に過ぎない『どの候補者を一番支持するか』しか表明できない」。死票を多く生み選挙結果と民意にズレがある。さらに候補者にとっても「万人に広く配慮したくとも、一番に支持してもらえないと票に結びつかない」ため一定の有権者に配慮せざるを得ず、結果「選挙が人々の利害対立を煽り、社会の分断を招く」。

現在の 多数決式 選挙制度は「慣習のようなもので、他の方式と比べて優れているから採用されたわけではない」と語り、より適切な方法として、決選投票のような仕組みやボルダルール(※1)など多くの代替え案を紹介しています。

日本で初めて選挙が行われたのは1890年。その後の約130年、私たちは制度を随時アップデートしてきました(※2)。そろそろ大幅リニューアル、またはモデルチェンジの時期にきているのではないでしょうか?

安保法案強行採決と全国的なデモ、違憲状態が放置される「1票の格差」、そして兵庫県議の号泣会見やその他議員の醜聞と暴言の数々―。昨年1年間だけでも私は数多く、制度の限界と末期症状を見たという思いです。

今いる土俵自体を疑い、考え、より良い方法を自分たち自身で見つけなければなりません。その為にするべき事はまず、投票に行くことです。「当事者意識を持つ」ところからしか何も産み出すことはできない、という事を肝に銘じておきましょう。

ライフ リテラシー 代 表  加藤 千晃

ライフ・リテラシー的主権者教育

※1 フランス革命前、化学者ボルダによって考案された。選択肢が3つの時、1位に3点、2位に2点、3位に1点を配点する。死票が減り、有権者は2位や3位も選べる。「スコアリングルール」のひとつで、FIFAワールドカップサッカーの予選トーナメント順位決定方法などもその一種。

※2 日本の選挙制度の歩み

1890年 直接国税を15円以上納めた満25才以上の男子のみ(全人口の1%)

1925年 25歳以上の全ての男子

1945年   20歳以上の全ての男女

2016年 18歳以上  〃

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